■ Cafe* ■ Kichijyoji*  思い出せない*

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    JUGEMテーマ:写真
     
    【Pentax K-x  / TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 】

    催眠術をかけたあと、指をパチンって鳴らして

    目が覚める。そういうシーンをよくみかける。

    その逆のことが、よくある。

    何かスイッチが入って。

    映像が止め処も無く襲ってくる。

                               ■ ■ ■
     
    【Pentax K-x  / TAMRON 12-50mmF/2.8 A16 】

    ここに記事を書くときに、このスイッチがパチンを入ることがある。

    写真を眺めているときにスイッチが入ったり。

    あるいは、写真を撮っているときにパチンをスイッチが入ることがある。

    何かぼーっとしているときにもパチンと音が鳴る。


    そしたら頭に映像が溢れてくる。

    一旦、きっかけがあると自分でその映像の中に入って

    移動することもできる。早送りをしたり。逆戻しをしたり。



    【Pentax K-x  / TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 】

    その映像というのは、大体がどうでもいいシーンだったりする。

      **


    中学校の頃、足首を骨折して。

    A君が毎朝迎えに来てくれて

    かばんを持ってくれて。一緒に登下校していた。

    そいつは変な奴で、周りも引き気味な奴だったけど、親切な奴だった。

    それ以降、僕は彼と仲良くなった。


    【Pentax K-x  / TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 】

    彼はお隣さんといっても、田んぼを挟んだ50m先。

    僕は当時から電子工作が好きで、彼も興味を持ってくれて。

    あるときお互い、自前でラジオを作って。

    ワイヤレスマイクで夜中に交信しあった。

    その時のラジオの形や

    ワイヤレスマイクの電波をよく飛ばすようにアンテナ線を

    庭の物干し竿に巻きつけて、それは黄色いケーブルで。

    そして、ラジオをチューニングして

    お互いのマイクの音を一生懸命広いあって。

    やっと、「もしもし」という彼の声が

    ラジオのスピーカーから聞こえたその映像。

    そんな子供の頃の何気ないひとこま。


    【Pentax K-x  / TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 】

    ラジオの形状や、ボリュームのツマミの形とか。

    布団に入ったボクの姿が第三者的に見ることができる。

    そこまではっきりと覚えているのに。

    異常なくらいはっきり覚えているのに

    何故か彼の顔は全く映像として現れてこない。


    彼はボクが転校で引越しするときに

    サヨナラを言いに来てくれた。


    そのシーンも鮮明に映像として思い出せるのに。

    どうやっても彼の顔が出てこない。


    「顔」が出てこないことは割とよくある。

    単に歳をとってボケ気味というのではなくて。

    明らかに意図的に思い出させまいとボクの脳が操作しているように思える。


    骨折をしてギブスをしている短い期間だけ彼と濃密に接した。

    回復してからは、普通の友達に戻った。奴は帰宅部。ボクはバスケ部だったから。


    でも雨の日も風の日も迎えに来てくれて

    一緒に夜中にラジオで交信しあったことは

    その後のボクの人生に少なからず影響を与えている。


    そういう宝物のような思い出を「タカラモノ」のままにするように

    ボクの脳は敢えて彼の顔の記憶を「出そう」としないんだろうな。


    この写真を見ながら、何も感じることが無かったけど。


    あるきっかけで、わっと彼との思い出が湧き出した。


    美しいタカラモノのような思い出だから、思い出せないようになっているんだよ。